Melechesh - Enki
男性グロウルVo擁する4人構成。
今回このバンドのレビューをしようとした理由には深い訳があります。
夜中にカレーパンが食べたくなったけど、カロリーが気になった結果、エジプト臭の強いこのバンドを聴いて我慢したのです。
なんとも深い理由だ…。
そんなカレーパンの代用にもなる程の強い個性を持ったバンドなんです。
そんな第2のカレーパンのレビューでございます。何だか怒られそう。
まず、冒頭でも申し上げたようにエスニックなサウンド、とりわけエジプトを思わせるような旋律が特徴的なバンドです。
エジプト臭の強いメタルサウンドと言いますと、Nileが筆頭に挙げられますが、Melecheshは一味どころか百味違います。
では何が違うか。それはもう香辛料の使い方ですよ。
どういう事?と思われた方が大半だと思いますので詳しく説明を。
Nileの場合、何種類ものスパイスを丹念に調合し、風味を出すためにメタルというスープの中に溶かし込むスタイルです。
一方その頃Melecheshは、まだ粉末になっていない棚に並べられたスパイス全てを鼻息を荒くしながら鷲掴みにし、そこら辺に歩いてる見知らぬ人の口の中に、叫びながら半端ない勢いでブチ込んでいくスタイルなんです。
そう、蓋を開けた瞬間いきなりエジプト、曲中も休まずエジプト、曲の終わりもエジプト、次の曲もエジプト…このエジプトデンプシーロールを最後までかまされます。もう聴いてる方の顔面はボッコボコです。
全てのリフワークがエスニックな旋律で出来上がっている&しかもそのリフワークで爆走&シタールなどの中近東楽器まで登場。
ここまでエスニックなサウンドだと、もう隠し味のスパイスだとか云々はどうでもいいです。めちゃくちゃ楽しい。もはやエスニックハイですよ。
やはりそれもこれも全ての始まりは#1が元凶なんです。ミドルテンポでくるかと思わせておいて、不意打ちのアップテンポで爆走されちゃいます。一発思いっきり殴られたかのような衝撃的な格好よさ。
そして怒涛のドラムとエスニックなリフ、そしてゲストとしてMax Cavaleraが参加しているためにダブルVoの咆哮が冴え渡るキラーチューンである#3。ゲスト参加がニクい&ズルい。そんなん格好いいに決まってる。最高ですわ。
#7ではミドルテンポでありながらも胃もたれするくらいコッテコテな中近東的メロディ炸裂。
そして終曲#12は約13分もの大作と、何とも味の濃い内容となっております。
何でこんなに香辛料ばっかり食わんといかんのや!!!普通にカレーパンを食いたかったんや!!!と叫んでしまいそうです。
…あ、楽曲はどれも格好いいし、過去のアルバムもめちゃくちゃオススメなんですけどね。
そんなこんなで思い出しましたけど、行きつけのインドカレー屋さんがあるんですよ。
そこのインド人の店員さん、ランチセット頼む時、今日はコーラの気分だなーとか思ってる客を差し置いて「ラッシーネ。ラッシー。」で強制的にセットの飲み物を決めてくるんですよ。
「いやいやいや、おれ今日はコーラやけども?」なんて小心者の私が言えるはずもなく毎回ラッシーです。
この押しの強さに打ち勝つ心が日本人に足りないところなのかもしれないですね。
…いや、じゃあコーラとかオレンジジュースとか書かなくて良くね?
結論 : 中近東パワーに負けるな日本人。
Melecheshを聴いて耐性をつけるんだ日本人。
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【トラックリスト】
1.Tempest Temper, Enlil Enraged
2.The Pendulum Speaks
3.Lost Tribes
4.Multiple Truths
5.Enki-Divine Nature Awoken
6.Metatron and Man
7.The Palm, The Eye and Lapis Lazuli
8.Doorways to Irkala
9.The Outsiders
【YouTube】
3.Lost Tribes
【Amazon】
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