Fallujah - Dreamless
米国産プログレッシブデスメタル、2016年リリースの3rd。
Unique Leaderから、メタル大手レーベルNuclear Blastへ移籍後の初リリースです。
前作のアトモスフェリックス方面への路線変更が、ドンピシャ功を奏しましたね。
そんな感じで新ジャンルを開拓しちゃった草分けバンド様でございます。
さて大手進出しました今作ですが…
Q : 前作で魅せたプログレデスmeetsアトモス路線は今作も健在なのでしょうか。
A : Yes、健在です。
てことで、バリバリにアトモスってバリバリにプログレデスってます。
あー、良かった良かった。
せっかく見えてきた軸を無視し「ジャンルに縛られたくない」を呪文の様に唱えた挙句、底の見えない沼に自らダイブしていく困ったさんが後を絶たない現代社会ですから、本当に良かった…。
むしろプログレ・アトモス両要素が増しております。
前作では、プログレデスにアトモスをえいっと乗せたサウンドでした。
今作は、バンド・聴き手もろとも宇宙空間にえいっと放り投げ出されたかのようなサウンドです。
ジャケットに描かれている巨人の掌の上で、宇宙の神秘性と恐ろしさを見せつけられているかのようです。あのワカメみたいなのが手なのかはわかりませんが。
アトモス要素が増えたことで、音がぬるくなったなんてこともありません。むしろ静と動の緩急で生ハムメロン現象が起きてます。
というか、余分な贅肉を削ぎ落とし、よりシャープな仕上がりになったと言うのが妥当。
そしてプログレッシブさが増すことで聴きにくさも増すかと思われがちですが、案外そんなこともないという。個人的には前作よりも耳馴染みがいい気がする。
#1はSF映画でも始まるんちゃうかなと思わせるほど壮大な入り。その中にリズム隊が加わり、さらに暴虐性の高いグロウルVoが混じり…。
これが俺たちだ!みたいなFallujahアンセムと言っていいんじゃないでしょうか。
それとは一転#2では、リズム隊が手数で攻め立てるテクニックと凶暴性を一発かましてくるサウンド。
#3は、イントロから既に良曲の匂いが漂う、珠玉の生ハムメロン曲。静と動、男声と女声、この四つ巴のバランス…鳥肌ブァァ…です。本当に女性Voが物凄く良いアクセントとなっております。生ハムメロンです。スイカに塩でも良いです。
生ハムスイカ塩メロン曲認定です。
何とも妖しく艶かしい入りが素敵な#5、おしゃんてぃーインストの#6と続くのですが、どの曲も惚れ惚れしてしまう聴き心地の良さ。複雑かつ暴虐的なのに、不思議です。
そして最後の#12は、これが集大成やと言わんばかりに、力のこもった演奏をぶつけ、空間と同化したかのような女声が漂う一曲となっております。
頭振って踊るメタルというよりも、じっくり聴いて沸々と内なる力を滾らせるタイプのメタルです。
頭振れと言われても多分Meshuggah以上に困ると思います。
遠い未来には、火星への道中でスペースシャトルに乗りながら音楽を聴く時代が来るんでしょうねぇ。
今はまだ宇宙飛行士の道を志すしか方法は無いですから、我慢です。
宇宙飛行士の方がこのブログ見てるなんていう天文学的レベルの珍事が起きない限り、我らが身分は大人しく電気を消した部屋で室内プラネタリウムでも買って、しみじみ聴きましょう。
結論 : JAXAの志望理由で「宇宙でFallujahが聴きたいからです!」とか口滑らすと試験落ちるから気をつけて下さい。
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【トラックリスト】
1.Face of Death
2.Adrenaline
3.The Void Alone
4.Abandon
5.Scar Queen
6.Dreamless
7.The Prodigal Son
8.Amber Gaze
9.Fidelio
10.Wind for Wings
11.Les Silences
12.Lacuna
【YouTube】
3.The Void Alone
【Amazon】
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